『閉店にあたり』

というわけで3月23日をもちましてバルタザールを閉店することになりました。
約17年半に渡りご愛顧いただき本当に感謝感謝です。

ここで閉店に至った経緯やこれからの事、自分の今の気持ちなどをここに綴らせていただきます。バルタザールとは僕(店主)のすべてであり僕みたいなものなのでお店とは関係ないプライベートな事なども書くと思いますので興味のない方には何のこっちゃとなると思いますので悪しからず。


第一の理由としては島根から大阪に出てきて27年、途中でロンドンに住んでいたこともありますがほぼ大阪に住んでいました。自分の年齢を考えた時にそろそろ違う場所で違う暮らしをしてみたいと数年前から思うようになり、そのタイミングでバルタザールが入っているビルの立退きの話もありそこから本気で考えるようになりました。


ちょうどその頃に島根の実家の近くにある知り合いが所有していた古民家と同じ敷地にお店ができる建物が併設された物件が売りに出るという話を聞いた時にそこでの生活やお店をやるイメージが一瞬で湧いてきたので即決で決めてしましました。バルタザールをやる時もそうだったんですが物件を見てすぐイメージできる事を僕は大事にしています。それはお店だけじゃなく家もそうだと思います。その感覚を理解して一緒に来てくれる家族には本当に感謝です。


バルタザールでの約17年半は本当に山あり谷あり、色々ありすぎて...まあ正直なところよく続けて来れたとは思います。何の実力も経験もない27歳の若者がお店をやると言ったら今の僕なら間違いなく反対します。でも唯一僕にあったのは人に困らないという事でしょうか。人望とまでは言いませんが本当に人には恵まれ苦しい時もお客さんや家族、友人らに助けてもらいお店を続けて来れました。スタッフにも困らなかったですね。その時のシェフが辞めるってなったら募集もしてないのに次のシェフが現れるし誰かバイトいないかなと考えていたら誰か来てくれるし。ほんとラッキーでした。


あとはいつの間にかのめり込んで沼にハマってしまったワインでしょうかね。20代の頃はそんなにお酒が好きでもなかったと思います。基本的に好きになったらのめり込んでしまう性格なんですがここまでのめり込むんでしまうとは思ってもみなかったですね。今のナチュラルワインブームは想像もできなかったですけど...
そのせいで人生を狂わされたスタッフもいました、今はブルゴーニュでルノーボワイエとワインを作っている滝口ですね。彼女もスタッフとして入った時はワインすら飲めなかったのに自分で努力して今ではワインを作っているんですから人生って面白いです。ワインを通して日本中いや世界中の色々な人たちと繋がれたことも大きな財産となりました。


この数年は人生折り返しに差し掛かったしおそらくバルタザールも終わり新たなチャレンジもはじまるし自分とは何なのか人生とは何かをこの数年考えるようになりました。僕の場合バルタザールをはじめてたくさんの人と出会い、酒を酌み交わしたり話をしたりすることで自分のまあまあ普通だった人生に彩を添えれてるんだろうなと思います。それはこれからも変わらないかなと。自分が何なのかは結論は出たような出てないような感じです。いうてもまだ45歳ですし。良いところも悪いところもひっくるめてまあこんな人間なのかなと。。まあ詳しく書いても仕方ないので書きませんが。それを踏まえて次の島根で暮らしやお店の事を考えていきたいと思っています。小さい子供も二人いますしもう少し家族の時間を大事にしたいし、本を読んだり音楽聞いたり今やりたいけどできてない事をやりたいと思っています。酒量も減らせるかな。。次のお店についてはまだ言える段階ではないのでもう少し具体的になってきたらまた報告させていただきます。ただバルタザールという名前はここで終わりになるので悪しからず。



これまでバルタザールで働いてくれたみんなにも本当に感謝です。特に歴代のシェフには感謝です。今は島根の松江でマルドゥークをやっている弟の健太郎、天満橋でランゴロをやってるシゲ、そして今の井上くん。皆それぞれ個性があり今は立派に独立もしているし井上くんもこれからが本当楽しみです。みんながいたから僕はワインに集中して営業をすることができました。そしてこの数年バイトで手伝ってくれた修平、西田辺のコーヒー屋long seasonの沖田くん皆忙しい中僕に代わってインスタ女子の相手を頑張ってくれました笑
そして約17年の間毎週京田辺から野菜を届けてくれた叔母にも本当に感謝です。これからは少しゆっくりしてください。あとは父にも感謝です。今は脳梗塞を患ってからは野菜を作れなくなったけど初期の頃はいつも野菜や魚を送ってくれました。


父の話が出たのでここで少し。僕の母親は僕が小学校入学した4月に白血病で亡くなりました。ちなみに今年僕の長女が小学校に入学します。長男が5歳になるので弟も当時同じ年齢でした。父は再婚もしなかったしひとりで僕ら兄弟と祖母の面倒を見てくれました。今の僕に置き換えたら本当に信じられない状況です。なので若い時はあまり感じなかったけど最近は強烈に父への尊敬と感謝の気持ちと27年もの間ひとりで寂しい思いをさせてしまったこともあり島根に帰ったら今までの分も一緒に過ごせたらと思っています。


最後になりますが今までご来店いただいたお客様、仲良くしてくれた同業の皆さん、お世話になった業者の皆さん本当にありがとうございました。バルタザールは無くなりますが10年後、20年後にでも皆さんの頭の片隅に靱公園の近くの街角にあんな店あったなーって残っていたら嬉しいです。僕は寂しさはないし(今のところ...)死ぬわけでもないのであまりしんみりしないでください!そして機会があれば是非島根に遊びにきてください。ちょっと遠いしめっちゃ田舎だけど温泉もお酒もお魚もいいですよ。まだまだ人生は続きます、ここでの17年半を自分のかけがえのない財産として次の糧にしていきたいと思います。

本当にありがとうございました。またどこかで!


                        バルタザール  店主 三原雄太

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